閉塞感をゴール設定で超えていく (11)

目次 

  1. 春なのに憂鬱? 
  2. 「マインドの使い方」で超えていく 
  3. 「現状の外側」とは? 
  4. 「現状の外側」に行くための工夫 

春なのに憂鬱? 

学校と多くの企業では新年度が始まり、この一年をどうやって充実させていこうかと色々と計画している人が多いのではないかと思います。 

一方で、年度が変わっても相変わらず代わり映えのしない毎日が続きそうだと閉塞感を感じて、少々憂鬱になっている人もいるでしょう。 

単に日常に変化が欲しいだけなら、何かいつもと違ったことをやってみればいいでしょう。例えば、新しい趣味を見つけるとか、旅行に出て刺激を得るとか、個人的なことであれば方法を見つけるのは比較的簡単です。 

「マインドの使い方」で超えていく 

けれども、職場での閉塞感のように自分以外の大勢の人が関わる場合は簡単にはいきません。勤め先の方針が大きく関係しているかも知れませんし、業界の状況、競合社の動きにも左右されることもあるでしょう。それに、職場が抱える課題には優先順位があるので、例え自分が直面している問題の原因が特定されても、自分を含めて、誰かがすぐに解決に向け動いてくれるかどうかは分かりません。こんな風に自分では状況をコントロールできないのも閉塞感や無力感の原因です。 

では、あなたの閉塞感を取り除くために出来ることは何でしょうか? 

何もあなたにその状況を打破する急先鋒になれと言っているのではありません。もちろん、あなた自身が問題を解決していければいいですが、今のあなたが職場に対して即効性のある実行案を導入して、それを実行する権限が与えられていなければ出来る事は限られているでしょう。それにあなたは職場の状況が改善されないなら、その職場を辞めて、別のところへ行くことも出来るのです。 

ここでお伝えしたいのは「マインドの使い方」についてです。 

そして、あなたにやってみて欲しいのは、閉塞感を生んでいる現状の外側にあるゴールを設定するところからスタートする、ということです。 

「現状の外側」とは? 

ところで、その「現状」とは何でしょうか? 

ちょっと堅苦しいですが、国家や地方自治体の政策の世界で考えると、法律が変わらなければ続く世界が「現状」です。あまり普段意識しないことですが、法律で決められたことによって、私たちの日常生活がさまざまに影響を受けているというのは実感できるのではないかと思います。飲酒運転がダメだとか、株のインサイダー取引がダメだとか、婚姻年齢は男女ともに18歳以上であるとか、法律によって様々なことが規定されています。 

職場であれば、就業規則によって就業時間や休日、それに残業代や出張費について取り決められています。それ以外にも、外部組織との取引についてどのように会計処理するのかを取り決めた会計規則があります。そのほか、上司部下の関係性など明文化されていないけれど、暗黙の了解事項となっている職場のルールなどがあります。これらの規則やルールが維持されている世界が「現状」です。 

さらに、もっと身近な個人的な部分で言えば、あなたがこの世界をどのように見ているか、認識しているかというのも、「現状」と大きく関係しています。 

あなたが認識しているモノ、一つひとつについて「これはこういうモノ、あれはああいうモノ」と物理的なモノだけでなく、「愛」や「親切」などの概念についても「こういうモノ」という捉え方をしていると思います。それを「信念(belief)」と言いましょう。その信念(belief)が束になって、あなたのブリーフ・システム(belief system)を形成しています。 

ブリーフ・システムはあなた自身を表していると言えますが、信念が集まった束ですので、物理的・概念的なモノに対するあなたの捉え方が変われば、ブリーフ・システムも変わります。ですから、ブリーフ・システムは固定的ではありません。 

つまり、「現状の外側」というのは、あなたを縛っている規則やルール、暗黙の了解事項、さらにはあなたのブリーフ・システムが大きく変化した世界ということです。 

「現状の外側」に行くための工夫 

さて、あなたはそういう現状の外側の新しい世界を想像する事ができるでしょうか?そして、その新しい世界を自分が何らかの働きかけをして作り出す事が出来ると思えるでしょうか? 

まず、現状の外側の世界を想像するのは難しそうです。なぜなら、普段、私たちは居心地のいい現状の中で暮らしていて、「現状の外側」のことはほとんど関心がなく、それ故、情報を持っていないからです。 

では、そんな「現状の外側」を見えるようにするにはどうしたらいいのでしょうか? 

それにはちょっと工夫が必要です。その工夫というのが、心から達成したいと思う「現状の外側のゴール」を設定することです。閉塞感を生んでいる原因にフォーカスするのではなく、ちょっとつかみどころのない「現状の外側のゴール」を設定するのです。 

ゴールは言葉で表現しようとしても難しいかも知れません。仮に言葉で表現できたとしても抽象的になるかも知れません。そんなおぼろげに見えるだけの行き先=ゴールを決めるのです。 

私はゴールを設定することを「地図が無くても、行き先は決められる」とよく説明しています。 

どこかへ行こうとする時、地図が無くても行き先は決められるでしょう。ここで地図というのは、行き方を示すものです。そして、行き先がどんな場所なのか知らなくても、地名だけ知っていれば行き先を決めれますし、「地球上で地表が一番熱いところ」という行き先もあり得ます。さらに言葉にさえ言い表せないけれど、感覚的にこんな場所に行くと決めて、それに合う場所を見つけ出してからそこへ向かうという方法もあるでしょう。 

このようにゴールを設定した時点では、未来にゴールを達成した時の世界が具体的にどのようなモノなのかがはっきり分からなくていいのです。最初から、ゴールを達成した世界がはっきりと見えたら、そのゴールはきっと現状の中にあるゴールです。 

いずれにせよ、ゴールの世界は近づいていけば、段々とはっきりその姿が見えるようになってくるので、心配はいりません。逆に、はっきり見えてきたら、そろそろ現状の内側に入りつつあるので、その時はゴールをさらに先に再設定する時期です。 

さて、ゴールを設定しただけでは何も変わりません。実際に現状を変えていくためには、次のステップが必要です。