エフィカシーを高めて無意識を味方にする(8)

目次 

  1. 目標達成には一瞬一瞬が勝負 
  2. 無意識に判断し行動している時間が大事 
  3. 例えば、あなたは合格に自信のない数学が苦手な受験生 
  4. 勉強か映画かの選択を迫られたら? 
  5. とりあえず、予定変更で対応 
  6. 変更した予定を維持できるか? 
  7. どこが本当の分かれ道? 
  8. エフィカシーは高く 
  9. エフィカシーを高めるのは簡単? 

目標達成には一瞬一瞬が勝負 

これからやろうとしているコトに対して、「やれるかな?自信ないな」と思って取り組むのと、「かなり大きな挑戦だけれど、きっと出来るさ!」と自分の能力に対して楽観的で自信を持って取り組むのとでは結果に大きな差が出ます。 

もし大きな目標に向けて活動していこうとするなら、短くても半年から一年くらいをかけて様々な事に取り組むことになるでしょう。あなたはその長い期間の一瞬一瞬で、目標達成のために有効な判断と行動をし続けることができるでしょうか? 

無意識に判断し行動している時間が大事 

ただし、その判断と行動は意識して行うものばかりではありません。 

ふとした時に、右か左か、進むか止まるか、取るか離すかを無意識に瞬時に判断し行動していることがたくさんあると思います。 

目標達成のためには、その無意識の判断無意識の行動が目標に近づくのに役立つものであることがとても重要です。 

例えば、あなたは合格に自信のない数学が苦手な受験生 

例えば、あなたは4月から高校3年生になり、来年の大学入試に向け本格的に受験勉強を始めようとしているとします。そして今の時点から「〇〇大学に受かるわけない!」「どう考えても受かりそうにない」と自信がなく、いつもそれを口にも出してセルフトークしています。 

勉強か映画かの選択を迫られたら? 

さて、あなたは高校生になった頃から数学にずっと苦手意識があって、普段の勉強も数学は後回しになりがちです。今週も数学を避けているうちに宿題が溜まって来たので、週末の土曜日にまとめて片付けようと予定を立てました。ところが、あなたにとって運悪くなのか幸運なのか、前日の金曜日に仲の良い友人から土曜日に今話題の映画を一緒に観に行こうと誘いがありました。 

困ったことになりました。この誘いを断って計画通りに勉強するか、それとも誘いに乗って映画に行くのかの決断を迫られています。 

とりあえず、予定変更で対応 

あなたには土曜日は映画に行って思いっきり楽しんだ後、翌日の日曜日に数学の勉強をするという選択肢があります。それに、前回友だちから誘われた時は、ちょうど祖父母の家に顔を出しに行く予定があったので断ってしまいました。だから、二回続けて断ることになるので今回は何となく断りづらい。 

それで、つい誘いに乗ってしまいました。そして、「日曜日に勉強すればいいや」と思った次の瞬間から頭の中は映画のことで一杯になり、勉強のことはしばらく頭の片隅へ押しやられてしまいました。 

変更した予定を維持できるか? 

問題は映画を楽しんだ次の日の日曜日です。ただ、元の予定では日曜日は自宅で何もせずにゆっくりしようと思っていました。最近学校行事もあって忙しく少し疲れが溜まっていたので、ダラダラ過ごすのをとても楽しみにしていたのです。 

さて、日曜日の朝起きると昨日見た映画が刺激的でとても楽しかったので、まだその余韻を感じています。そして、ふと、元の予定では今日は一日中何もせず、ゆっくりするのだったと思い出しました。 

よくありそうなシチュエーションです。ここであなたは変更した予定通り、数学の宿題に集中して取り組めるでしょうか?こんな言葉が頭に浮かんで来ませんか? 

「今日ちょっと数学を勉強したくらいで、成績は変わらないよ!」 
「あ〜ぁあ、やっぱり映画を観に行くのは来週にすれば良かった。今週はいつもより疲れたから来週頑張るためにも今日は休んだ方が良いのでは?」 

と、こんな風に。 

どこが本当の分かれ道? 

普通なら、ここが人生の分かれ道だと言うでしょう。でも実は、もっと前の段階が分かれ道なのです。 

それは受験勉強を始めた頃から抱いている「どう考えても受かりそうにない」というマインドこそが分かれ道なのです。 

「〇〇大学合格」というゴールを掲げたのに、自分では全く合格に自信が持てていない。特に、数学については苦手意識もあるから、出来るだけ避けて通ろうとしている。 

この自信の無さが変わらなければ、結局は同じ事の繰り返しで、志望大学入学どころか苦手な教科の克服でさえ夢のまた夢です。 

エフィカシーは高く 

コーチングでは、ゴールの達成能力に対する自己評価のことをエフィカシーと言います。エフィカシーが低くて自分が立てた目標に対して「達成できそうにない!」と思えば、達成がとても難しくなってしまいます。また、仮に達成出来たとしても、達成までの道のりはきっと苦痛でしかないでしょう。 

先の例のように、エフィカシーが低いままだと、ゴール達成に不可欠な事であっても、「苦手だな」「嫌だな」と少しでも感じた瞬間に無意識がそれを避けるように働き、易きに流れ続けてしまいます。 

それにエフィカシーが低ければ、いつまでも勉強は楽しくなりません。ただでさえ勉強という言葉からは「努力」「苦しい」「頑張る」などが連想され、そこからさらに「出来ればやりたくない」「避けたい」というネガティブな感情が想起されがちです。 

エフィカシーを高めるのは簡単? 

では、どうすればエフィカシーを上げることが出来るでしょうか? 

ここでエフィカシーの定義をもう一度確認すると、 

エフィカシーとは、自分が設定したゴールを達成出来ると自分で自分の能力を評価すること。 

全部、自分のことです。自己評価なので、他人がどう言おうと自分で勝手に「自分には出来る!」と思えばいいだけです。 

だから、本来は簡単なことのはずなのですが、実際にやってみると難しい。 

そこで、コーチのように相手のエフィカシーを上げる方法に長けている人がいて、「君には出来る!」と支えることに意味があるのです。