ゴールはたくさんあっていい(13)

目次 

  1. いつも、どんな風に過ごしていますか?
  2. ゴールはたくさん設定する
  3. 職業とファイナンス
  4. バランス重視のゴール 
  5. 趣味と職業の共通点

ゴールデンウィークが始まりますが、今年に入ってからみなさんの生活には何か変化がありましたか?それとも相変わらず、大した変化もない日々が続いていますか? 

今回は前回お話ししたゴール設定の先をみなさんと一緒に考えたいのですが、その前に日々の生活がどうなっているのかを確認してみましょう。

いつも、どんな風に過ごしていますか?

 あなたは典型的な一日をどんな風に過ごしていますか?朝起きて、身支度して、朝食を食べ、学校や職場に出掛けていく。学生なら学校へ行き授業があって、放課後は部活に参加する人、塾に通う人、大学生ならバイトへ向かう人がいるでしょう。社会人なら朝早くから通勤電車に乗り職場へ向かい、決められた仕事をこなし、または新しい仕事を作り出し、お昼には同僚とランチに行って息抜きと情報交換をし、午後も業務や会議で時間を費やします。仕事が終われば、飲みにいく人、すぐに帰宅して夕食の準備や子どもの世話に奔走する人もいるでしょう。平日の24時間というのは、とても慌ただしいものです。 

では、時間を伸ばして一ヶ月ではどんな過ごし方をしているでしょうか?週末が4回あるので、学校や職場に関係する以外のこともたくさん出来そうです。 

週末に一泊二日で旅行に出かけたり、ゴールデンウィークのような長い休みのある月なら、思い切って海外旅行にも出かけられます。去年はハワイに行ったから、今年はフランスに行きたいとか、近場で台湾くらいにしておこうかなどと、計画している時からワクワクします。 

平日はまとまった時間が取れないので、週末を学びの時間にあてる人もいるでしょう。英検や宅建、ファイナンシャルプランナーなど仕事に役立ちそうな資格を取得するために学ぶ人もいれば、美術館での絵画鑑賞をより楽しいものにしたいという理由で西洋美術史を学ぶ人もいるでしょう。 

あるいは、年初に北陸で地震がありましたが、毎週末を使って瓦礫処理の手伝いのためにボランティアに出かけようなどと、社会貢献活動に時間を使う人もいます。 

週末はただ自宅でゆっくりと過ごして、家族との時間を大切にしたいという人もいるでしょう。 

いまの平日の仕事だけでは将来が不安だから、週末を利用して副業にあてている人もいるかも知れません。 

一ヶ月というまとまった時間を考えるとたくさんの可能性が見えてきました。1年、3年と期間を延ばすともっと出来ることの幅が広がりそうです。  

ゴールはたくさん設定する 

さて、今日はゴール設定の先の話でした。 

コーチングにおけるゴール設定の仕方を初めて聞くと、職業のゴールだけを思い浮かべる人が多いです。これは、資本主義経済/市場経済の中で生きる私たちにとって、実質的に収入を得る手段となっている職業が最重要であると考えているからです。 

でも、先ほど一ヶ月の過ごし方を考えた時には、職業以外のことにもたくさん関わっていると確認しました。生きていく中で関心のある事柄には、家庭のこと、旅行や趣味のこと、ボランティアや副業のことなど色々ありました。人生はそうした様々な側面があって、それが複雑に交差しながら毎日の時間を過ごしているのだと思います。 

だから、人生のたった一つの側面である職業だけにゴールを設定するのでは豊かに生きることが出来ません。職業のゴールに集中し過ぎて、家庭や健康が損なわれ趣味もない人生では寂しいでしょう。 

だから、ゴールは一つではなく、人生のあらゆる領域にいくつも設定するのです。その領域は、一人ひとりの状況や関心事に従って決めれば良いものですが、家庭、ファイナンス、健康、職業、趣味、生涯学習、社会貢献などは含まれていて良さそうです。少なくとも8個〜10個くらいの領域を選んで、それぞれにゴールを見つけて下さい。 

コーチングでは、人生のあらゆる領域にゴールを設定するためのツールとしてバランス・ホイールを活用しています。 

「バランス・ホイール」のホイールというのは、自転車や車のタイヤが付いている、中心から円周の方へ何本も線が出ている車輪のことです。人生の様々な領域にゴールを設定する時に、このスポークの線で区切られた一つひとつに職業、家族、健康、ファイナンス、生涯学習、社会貢献、趣味などを割り当て、それぞれにゴールを設定していきます。そして、そのバランス・ホイール上に10個前後のゴールを設定し、それらのゴールを達成した時の自分の姿(自己イメージ)と自分が見ている世界(コンフォートゾーン)をマインドで具体的に描いて、そのイメージに臨場感を感じていくことで新しいコンフォートゾーンへ移行していけるのです。 

【次世代人材の育成9️】 職業だけのゴールでは足りない 

職業とファイナンス 

ここでいくつかゴール設定に際して気を付けて欲しい点をシェアします。 

まず職業とファイナンスについてです。 

普通は職業をお金を稼ぐ手段と考えてしまいがちです。もちろんお金は稼げるのですが、コーチングでは職業はまず、やりたくて仕方がないこと、そして、自分が得意なことを職業に選びましょうと言います。職業は、社会に役に立つ商品やサービスを提供するから報酬を得る事が出来ると考えます。この「役に立つ」という部分が大事です。 

でも、いくら役に立つと言っても、その結果として得られる報酬は自分のバランス・ホイールで設定したすべてのゴールを実現するには十分ではない可能性があります。そこでその職業を諦めて、やりたくもない、得意でもない仕事を職業に選んでしまう人が多いのです。そんな風に職業を選んでいたら、仕事のパフォーマンスが上がるわけがありません。 

だから、ファイナンスのゴールを別に設定するのです。仕事は何も一つでなければならないわけではありません。職業で十分な収入を得られないのであれば、別のファイナンス活動で賄おうという考え方です。 

例えば、売れない俳優さんがコンビニでバイトして何とか生活しているという話をよく聞くでしょう。この場合、この人にとって職業は俳優です。そして、ファイナンス活動として俳優だけで食べていけるようになるまでの間はコンビニのバイトをしているわけです。 

人は社会の役に立つのが嬉しいと思う生き物です。元々、人類として生き残っていくために、みんなで協力して社会を作って生きてきたのですから当たり前です。貨幣が発明される前までは、自分の所属する集団・社会で役に立っていれば、居場所があって、生きていく事が出来ていたのだと思います。それが、貨幣経済になってからは、お金がなければ何も出来ず、お金を稼ぐ必要が出てきたところから、ただ役に立つだけではダメで、金銭的な報酬の額を過度に気にするようになってしまったのです。 

でも、元々の発想から言えば、職業は他の誰よりも得意な事で、自分がそれをやる事で効率よくいいモノが作れたり、いいサービスが提供できるから、周りの人から喜ばれて、それを職業としていたはずです。そして、得意な事になるのは、自分が好きな事である場合がほとんどです。好きな事であれば、何時間でもやり続けられますし、技術を磨いていくのも本人にとっては楽しい事でしょう。これは社会にとってもいい事です。誰よりも得意な人が、心をこめて提供してくれるのですから。だから、職業は自分が心からやりたい事というのは決して外してはいけない条件なのです。

バランス重視のゴール 

さらに、ファイナンスについて補足しておきたい事があります。 

まず自分が好きでやっている職業で報酬が得られます。そして、その報酬でバランス・ホイール全体を維持するのに必要な支出を賄えない部分を担うのが、ファイナンス活動といいました。ということは、支出より少し多い収入を得られれば問題がないわけです。老後のことなども考えて、年々少しずつ資産が増えているくらいの感覚です。要するに、ほぼ支出と収入がバランスしていればいいということ。このバランスがファイナンスのゴールの大事なキーワードです。 

同じことが健康にも当てはまります。健康も現状の外側にゴールを設定するというよりも、多分、バランスという方がしっくりくるでしょう。健康な毎日が送れる体の状態でバランスしていればいいのです。 

このようにゴールを設定する領域によっては、現状の外側ではなく、バランスを意識した方がしっくり来るものがありますので、ご自身で一度よく考えてみてください。 

趣味と職業の共通点 

それから、職業のゴールが単にお金をたくさん稼ぐというのではなく、心からやりたいと思うことで社会に機能を提供して、その結果、報酬を得るものと気づいた途端、ゴールを見つけるのが難しいと感じる人がいます。そんな人には、まず、趣味のゴールを設定してみるのをお勧めします。 

趣味は、基本的にやりたいことしかやりません。やっても報酬がもらえるどころか、お金はどんどん出ていくばかりです。けれど、どうしても、止められてもやりたいからやっているわけです。その「やりたい」という感覚が職業のゴールを見つけるのに役に立ちます。よく趣味の延長が職業になってしまったというのを聞いて、「うらやましい」「そんなのは仕事じゃない」とか言う人がいますが、実はこちらの方が正しいのです。批判的なことを言う人は、職業とファイナンスがごっちゃになっているだけです。そこを切り分けて考えられれば、納得できるのではないでしょうか。 

さて、ゴール設定について、随分と詳しくお話ししました。これを参考にして、ぜひ、あなたもバランス・ホイールを用いてゴールを設定してみて下さい。