目次
- 「チャレンジ」から連想すること
- コンフォートゾーン
- 変化がないと満足しない
- ホメオスタシスとゴール設定
「チャレンジ」から連想すること
人生を大きく変えようとする時、人はよく「チャレンジしてみよう!」と言いますが、みなさんはこの「チャレンジ」という言葉からどんなことを連想しますか?
- リスク
- 危険
- 乗り越える
- 成長する
- 今までにない自分
- 達成感
私はこのような言葉が思いつきましたが、今の安心・安定から離れてもう一段高い所にある安心・安定に向かって行くようなイメージを持ちました。
こんな風に、人生を変えるには今のコンフォートゾーンを出ることが必要なのだと思います。
コンフォートゾーン
コンフォートゾーンというのは、その言葉の通り居心地の良い空間のことです。ただし、物理的な空間だけではなく、心理的な空間も含んでいます。
自宅や自分の部屋、いつも通っている職場や教室、よく行くカフェなど物理的な空間を意味するだけではなく、好きな音楽を聴いている時、仲の良い友人と過ごしている時間、気心の知れた同僚とランチしている時間などに感じる心理的な状態もコンフォートゾーンです。
また、人とコミュニケーションをとっている時、相手が笑顔で接してくれる、ゆっくりちょっと低めの声で話しかけてくれる、リラックスして座って話しているなどもコンフォートゾーンを構成する要素だと思います。
さらに、朝起きてから職場や学校に出かけるまでにルーティンで行っている朝食を食べたり身支度したりすることもコンフォートゾーンを構成しています。職場での会議の進め方や上司への報告の仕方も決まった形式で続けていて慣れてしまえば、それもコンフォートゾーンの中でしょう。
コンフォートゾーンは「ゾーン」ですから、ある程度幅のある範囲であって、その中に収まっていれば居心地が良いと感じられる領域のことです。
そういう自分が生きて行くのにストレスを感じない物理的・心理的な領域があるということです。コンフォートゾーンの中にいれば、いつもの自分でいられて、何かに取り組む時は期待通りのパフォーマンスを発揮する事ができます。
変化がないと満足しない
でも人は、ずっとそのような安心・安定した所にいると退屈してしまうのです。居心地が良いだけでは幸福感は続かず、絶えず変化がないと満足しません。
2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏は、限定合理性によって、「満足度を決めるのは『変化』であって、『状態』ではない」(ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る/楽工社)と言っています。
だから、波風の立たない居心地の良いコンフォートゾーンに居ても、変化を起こしたくてチャレンジしてみたくなるのです。でも、簡単にコンフォートゾーンの外に出られる訳ではありません。みなさんもピンと来ることがあるでしょう。
ホメオスタシスとゴール設定
そうです。チャレンジしたいと言いながら、一方で、強烈に今のコンフォートゾーンの中に留まりたいという無意識の力が働くのです。
しかも、コンフォートゾーンの外は見えないので、どうしても怖さ、薄気味悪さを感じます。これまで経験したことのない、全く知識もないような領域なので、スコトマだらけでうまく認識できないのです。そんな所へ出て行くにはかなりの勇気が必要です。
さらに、コンフォートゾーンの外に出てしまったら、これまでの自分では上手く適応できないかも知れないとの不安も頭をよぎります。ルールや習慣の違いもあれば、話されている言葉や当たり前とされる立ち居振る舞いも違うかも知れません。たとえ同じ言葉を使っていても意味が少し違ったりすることもあるでしょう。
そんなコンフォートゾーンの外に出てしまったら、誰でも萎縮してしまいます。心が乱れていると情報のインプットやアウトプットがスムーズにできなくなってしまうので、人の話を聞いて理解するのも、自分の考えを整理して伝えることも難しくなってしまいます。
だから、思い切ってコンフォートゾーンの外に出たとしても、すぐに元に戻りたくなってしまうのです。
これが、ホメオスタシス(恒常性維持機能)の働きです。
こうして、「変わりたいけど変われない」という穴にはまり込んで、身動きが取れなくなってしまうことがあるのです。
さて、困ったことになりました。幸福感を得るために変化を起こそうと、コンフォートゾーンの外に出たいのでした。でも、一方でコンフォートゾーンの中に留まらそうという力が働いている…。
そこで、このホメオスタシスの力を振り切ってコンフォートゾーンの外に出るための工夫が、心から達成したいと思う現状の外側のゴールを設定することなのです。